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関口 広美*; 関口 哲弘; 今村 元泰*; 松林 信行*; 島田 広道*; 馬場 祐治
Photon Factory Activity Report 1998, Part B, P. 37, 1999/11
放射光を用いることによりホルムアミド(HCONH)の炭素(C)1s準位または窒素(N)1s準位から非占有分子軌道へ選択的に共鳴励起することができる。本研究においては二種類の重水素置き換え体(DCONHとHCOND)を用いることによりC-H結合とN-H結合での結合切断における選択性を調べた。C-H/C-D,C-N,C=0,N-H/N-Dの各結合はC1s又はN1s吸収端において(C-H/C-D),(C-N),(C=0),(N-H/N-D)に選択励起できる。結果としてC1s励起から(C-N)への共鳴励起ではC-D切断により生じるDが増加し、N1s励起から(N-D)への共鳴励起ではN-D切断により生じるDが増加することが見いだされた。実験結果としては共鳴励起の場合のみ内殻ホールを開けた原子に局在化したイオン性解離が起こっていることを示している。
関口 広美*; 関口 哲弘; 北島 義典*; 馬場 祐治
Photon Factory Activity Report 1998, Part B, P. 66, 1999/11
シリコン(Si)表面と水(HO)との相互作用は半導体プロセス技術に関連して広く研究されている。本研究においては光刺激イオン脱離スペクトルが吸着分子と基板原子との相互作用に敏感に変化することを利用して異なった面指数を持つSi(100)とSi(111)試料についてHO吸着の相互作用を調べた。イオン検出はパルス放射光を利用した飛行時間質量分析法により行った。どちらの試料も軟X線吸収スペクトルはかなり似たスペクトルであったのに対し、両者のH脱離スペクトルはかなり異なったものであった。Si(111)の方がイオン収量が小さく、弱い相互作用に特有な(O-H)ピークが小さい。吸収スペクトルの偏光依存解析からSi(100)ではO-H結合が表面垂直に近いのに対し、Si(111)では平均約55度の傾き角となった。Si(111)ではH原子がよりSi表面第一層と近いため、相互作用が大きくなったものと結論した。
関口 哲弘; 馬場 祐治; Li, Y.; Ali, M.
Photon Factory Activity Report 1998, Part B, P. 67, 1999/11
放射光のX線エネルギーを変化させることにより特定の元素の内殻電子準位を選択的に励起することができる。これは、例えば、ディジタル・エッチング(薄膜吸着→光照射(反応)薄膜吸着→…を単分子レベルで進行させようというアイデア)に応用できる可能性がある。本研究では表面励起とバルク励起の選択性を見積もるため、シリコン(Si)基板上にイオウ(s)化合物((CHS))を吸着させた系に対し、基板(Si 1s)励起と吸着種(S 1s)の内殻励起により引き出される解離反応を調べた。放射光照射により生じるイオン脱離生成物を四重極質量分析により検出した。結果としてはイオウ原子イオンがあるイオウ内殻共鳴励起で生じ、基板Si励起では検出限界以下という大きな選択性が観測された。励起される吸着分子の数は歴される基板原子数に比べ数桁も小さいにもかかわらず、生成収量は大きいという非常に高い選択性が示された。
関口 哲弘; 関口 広美*; 馬場 祐治
Photon Factory Activity Report 1998, Part B, P. 68, 1999/11
シリコン(Si)半導体上における簡単な炭化水素分子の表面化学反応はSiCやダイヤモンド薄膜の生成などの応用面に関連するため広く研究されている。本研究においては室温及び低温(93K)のSi基板上にアセトン((CH)CO)を吸着させた系について放射光からの軟X線を励起光源として起こる解離反応を調べた。アセトンは放射光の励起エネルギーを変えることにより、分子中の(-CHとC=O)の二種類の炭素原子を選択して内殻励起することができると考えられている。放射光照射により生じるイオン脱離生成物を四重極質量分析により検出した。単分子約50分子吸着層についてフラグメント収量の励起光エネルギー依存性を測定した。実験結果としてはメチル基(-CH)の炭素が内殻励起された場合のみ、CH(n=0-3)イオンが顕著に生成することがわかった。この結果はこの共鳴励起でC-C結合が特に顕著に切断されていることを示唆している。
関口 広美*; 関口 哲弘
Photon Factory Activity Report 1998, Part B, P. 220, 1998/11
基礎研究及び応用研究、両面からの興味からSi表面と簡単な分子の相互作用は非常に多く研究されている。本研究は放射光の直線偏光特性を利用し、Si(100)2x1基板上の単分子吸着ギ酸(HCOO)のHCOO分子平面の配向角度をX線吸収端微細構造(NEXAFS)の偏光依存性測定により調べた。NEXAFSスペクトルの各ピーク強度は顕著な偏光角依存性を示した。観測された4本の共鳴ピークはHCOOの分子面外遷移()と3本の分子面内遷移()とに帰属された。双極子遷移の選択則からHCOO平面は表面垂直(100)方向に対し212°傾いていると結論された。電子線回折実験によると気相HCOOSiH分子のO=C-O-Siの二面体角は21°であり、吸着種のCHO面の傾き角とよく一致している。ギ酸メチル(HCOOCH)では相当するねじれ構造はなく、この違いはSi-O結合にイオン性寄与があることに起因する。
馬場 祐治; 寺岡 有殿; 佐々木 貞吉
Photon Factory Activity Report 1998, Part B, P. 92, 1997/11
内殻軌道のエネルギーシフト(化学シフト)を利用して、内殻電子励起により分子内の特定の結合部を選択的に切断できる例を見い出した。チオ硫酸ナトリウム(NaSO)の2つのイオウ原子には、形式電荷が-2の終端イオウ原子と形式電荷が+6の中心イオウ原子があり、これらの1s軌道のエネルギー差は7eVであった。NaSO表面に照射する放射光のエネルギーを掃引し、脱離イオウ種を測定したところ、終端イオウの1s電子を共鳴励起するとSが脱離するのに対し、中心イオウの1s共鳴励起では主にNaが脱離した。このことから、内殻励起状態は励起される原子に局在し、その原子周辺の結合を選択的に切断することが明らかとなった。
関口 哲弘; 馬場 祐治
Photon Factory Activity Report 1998, Part B, P. 261, 1997/11
電子励起による固体表面からの脱離過程は基礎的な物理過程の一つである。脱離生成物の種類や収量が吸着環境(基板との相互作用、スタッキング配向度、クラスター分子数など)に敏感であることが知られているがあまり系統的に研究されていない。本研究は銅(111)基板上に単分子及び多分子層Si(CH)Fを吸着させた系についてSi内殻電子励起により起こるイオン脱離過程を調べた。イオン収量の吸着量依存性曲線はそれぞれのイオン種に特徴的であった。CHやFは1分子層表面で生じ、多層吸着でも大きな増加は示さない。一方、SiX,SiX,SiX,X=CH,Fは約3分子層から生じ始め約10分子層まで増加するが、それ以上吸着量を多くしても脱離収量は増えない。(1)金属基板との相互作用による脱励起過程は約3分子層以下で起こること、(2)イオン脱離は常に最上層の10分子層以内から生じることなどが結論された。